オンラインでの音楽共同作業に必要なリモート音楽制作ソフトウェアのご紹介と解説

音楽を仕事にしているミュージシャン、スタジオ関係者の皆様にとって、新型コロナウィルス対策で外出の自粛を求められる状況下、これまでの様に一つの場所に集合して共同作業をするという様な事が難しくなっています。
また音楽教室の運営者の方、各音楽講師の皆様もレッスンの提供がままならず大変な思いをされているかと思います。
そんな中急激に注目され、ニーズが増えているのがオンラインで音楽制作の共同作業ができるリモート音楽制作ソフトウェアです。


CANPLAYはオンライン音楽学校の先駆者として多数の講義配信やコラボレーションを実践してきました。
その間色々なリモート音楽共同作業ソフトを導入し活用しています。
その経験を、皆様の今後の業務のために、特にお勧めできるソフトウェアのご紹介として記事にまとめました。




まずはこれまでスタジオで行っていた様な、レコーディング関連の音楽共同作業をリモートで行うためのソフトウェアについて解説します。



オンラインでの音楽共同作業のためにリモート音楽制作に必要な機能とは?

大きく分けて2つ必要です。
まずはなんと言っても

リモートでの遠隔レコーディング機能とオーディオデータの共有

そして作業の際のやりとりに使用する

チャット機能

です。

今回はこの2つを備えたリモートレコーディングソフトウェアを3つご紹介します。

soundwhale
sessionwire
Source-Connect

の3つです。
3つとも(一部を除き)月額での課金利用となります。
価格面も合わせてそれぞれどんな特徴があるのか解説をしていきましょう。




soundwhale

https://soundwhale.com/


soundwhaleは今回ご紹介させていただく3つのソフトの中でも、もっとも現代的な機能を持ち、価格のバランスの取れた注目ソフトと言って良いかもしれません。
リモートにある遠隔の共同作業者、例えば歌手とレコーディングエンジニアをDAWを同期させながら繋ぎ、レコーディングの作業が行えます。
イメージ的には下記画像の様な感じです。


後に紹介する老舗のSource-Connectの方がレコーディングの共同作業や、ポストプロダクション(動画へのアフレコなど)は優れているところもあるのですが、月額の利用料が1/3〜1/5とコスト面でメリットがある他、以下の様な魅力的な特徴を持ちます。

・オーディオ非圧縮
・MIDI送受信
・ビデオおよびテキストでのチャット
・iOS版あり


この中で特に重視しているのがオーディオ非圧縮な点です。
Source-Connectは通信速度が優れている事、そしてDAWに直接レコーディングできる事などは非常に素晴らしいのですが、オーディオが192kbps(Standard)と圧縮されているため、そのまま音楽作品として使用するのは難しいです。
その点非圧縮のsoundwhaleなら問題ありません。

またMIDIの送受信が行えるのはこのsoundwhaleのみです。
音楽制作の共同作業という点ではやはりMIDIの送受信は必須ではあるため、これは非常に有益な機能と言えるでしょう。
ただし御留意いただきたい点があり、やりとりするMIDIデータはベロシティ固定です。
その代わりベロシティについては手動で任意の数値に指定する事ができます。

ビデオ、テキストと両方(加えてトークも可能)のチャットができるのもsoundwahleのみです。
画面共有やファイル転送なども行えるのでコミュニケーションの部分でももっとも高機能と言って良いでしょう。



iOS版は、あるとは言え、PC版と特に連携がされる訳ではないのでおまけという感じかもしれませんが、それでも気軽に仮歌などの共有ができるのは、意外に使い途があるかもしれません。


3つ用意されている各プランの機能と価格を見てみましょう。


Level1
Level1は無料プランですが、soundwhaleのソフトウェアを使用しリモートでの音楽共同作業を行う事ができます。
オーディオだけでなくMIDIのやりとり、そしてビデオチャットまで、このLevel1から可能です。
ただし、オーディオが圧縮で、DAWの同期は行う事ができません。
まずは試してみたい、という方はLevel1でもsoundwhaleで何ができるのか?を十分確認していただけるでしょう。

Level2
月額17.99ドルです。(年支払いの場合月額換算14.99ドル)
Level1に加えて、オーディオが非圧縮になり、DAWとの同期が可能になります。
また録音テークの管理が行える様になるなど、音楽の共同作業を行うにはこのプランが実用的かもしれません。

Level3
月額29.99ドルです。(年支払いの場合月額換算24.99ドル)
level2に加えて動画を同期させた、作業を行う事ができます。
また遠隔でのミキシング操作を行う事も可能で、動画を用いたポストプロダクションの共同作業を行う場合はこのプランとなるでしょう。



sessionwire

https://source-elements.com/products/source-connect


sessionwireは安価でシンプルにDAWを使用したリモート音楽共同作業を行うケースに向いています。
月額15ドルと安価ですが、オーディオは非圧縮です。
年額で支払うと月額12.5ドルで利用できます。
DAWとの同期や直接レコーディングはできませんが、簡単にオーディオデータの転送でやりとりを行えます。
またチャットはビデオチャットのみでテキストのやり取りはできません。


機能的には他の2つのソフトウェアに比べできる事も少ないのでやや劣って見えますが、ただ双方のDAWでオーディオデータをやりとりするだけの目的であれば、シンプルな操作性はメリットであり、導入の検討に値するかもしれません。
尚sessionwireも提供されているのはMac版のみです。
14日間使用できるデモ版がありますのでまずはそちらで試してみるのも良いかもしれません。




Source-Connect

https://source-elements.com/products/source-connect

Source-Connectは、レコーディング関係の仕事をしている方はご存知のソフトでしょう。
この手のソフトでは老舗と言える定番ソフトウェアです。
MIDIのやりとりはできませんが、その他の機能は今回の3つの中でももっとも優れていると言えます。
バージョンはスタンダード、Pro、Pro Xと3つあり、

スタンダード: 月額35ドル
Pro: 月額105ドル
Pro X: 月額プランなし 2490ドルで買い切り販売

と他の2つに比べると高価です。

Source-Connectの特徴
・オーディオは192kbps(スタンダード。Proは364kbps)の圧縮
・DAWのプラグイン(VST、AU、AAX)でも使用可能
・DAWの同期と遠隔操作(Pro以上)
・チャットはテキストのみ(ビデオチャットなし)
・最大7.1chまでのサラウンド対応(Pro Xのみ)
・Mac版に加えWindows版あり

Pro Xのサラウンドは魅力的ですが、価格が高価だけに、業務として必須でなければ考慮の対象にはならないかもしれません。
現実的な選択肢としては35ドルのスタンダードとなると思いますが、それでも十分な高機能です。
ただしやはり気になるのはオーディオが圧縮な点です。
とは言え、この圧縮については転送速度の点で優れているというメリットもあり、一概にデメリットだけでは語る事はできません。
ボリュームの大きいオーディオレコーディングを中心とする共同作業や、特に動画のポストプロダクションにおいてはもっとも魅力的なソフトウェアになるはずです。
またWindows版が提供されてのはこのSource-Connectのみですので、Windowsの方にとってはこちら一択という事になるかもしれません。


比較表を作成しました


soundwhaleはLevel2、Source-Connectはスタンダードで比較しています。
音楽制作中心ならsoundwhale、気軽にDAWでの共同作業ならsessionwire、レコーディングやポストプロダクション中心(またWindowsユーザーの場合)ならSource-Connectという選択になるかもと考えていますが、皆様もそれぞれのご都合、環境に合わせ、選択してみてください。



コラボ作曲などの場合ウェブベースのDAWが便利です

加えてコラボ作曲など、共同で作曲を行ったりする場合がウェブベースのDAWは便利ですのでご紹介します。
遠隔でのレコーディングやチャット機能などはありませんが、ご紹介した3つのソフトウェアと併用して使用するとさらに色々なリモート音楽共同作業が可能になります。
ウェブベースのDAWは以前は動作が不安定だったり、機能が不足していたり、と使いづらい面がありましたが、近年は大きく性能も向上しており、実用レベルにまで達して来たと感じています。

その中でも特に使い勝手の良いSoundationについてご紹介します。

https://soundation.com/

Soundationはなんと言っても簡単に複数名でコラボレーション音楽制作が行える事が魅力ですが、単にDAWとしての機能もかなりの高水準にあります。

・ループ素材が700〜20000ほど用意されている(使用可能な素材数はプランによります)
・GM的PCMシンセから、各種シンセサイザーやドラム音源まで豊富なソフトウェアインストルメント
・基本的なものは全て網羅したエフェクト

初心者の音楽制作であれば十分すぎるほど本格的な機能です。

コラボレーションを行うのは非常に簡単です。
共作したいユーザーをメールで招待するだけ、1クリックで開始できます。
(共作相手もSoundationのユーザーである必要があります)

コラボレーターの作業の反映は、さすがにリアルタイムではないですが、思う以上に速く快適です。
遠隔の製作者間で、まるで同じDAWを使用しているかの様に共同作曲を行えるのは驚きでさえあります。
CANPLAYでもこの機能を活用し、新たにDTMの講義を提供する計画ですが、音楽教室、楽器講師の方も工夫すれば、リモートでのレッスン提供にも活用できると思っています。


Soundationのプラン

Soundationは無料から始める事ができます。
しかし、共同作業できる曲数が1曲のみでExportできない事などから月額1.99ドルのIntroプラン、月額6.99ドルのPremiumプランからが実用的なプランだと思います。
IntroとPremiumのもっとも大きな違いは使用できるオーディオ素材のため、リモート共同作業が主目的であればIntro版でも十分かもしれません。
その場合月額わずか1.99ドルです。
機能やできる事から考えると非常に魅力的です。




最後に

いかがだったでしょうか?
先に解説した、soundwhale、またはSource-ConnectとこのSoundationを併用すれば大概のリモート音楽共同作業は行えるのではないでしょうか。
それでも月額20ドル、約2000円ほどです。
リアルではスタジオへ移動の移動の交通費なども発生しますが、その金額以下で導入する事ができます。
今の状況下でもリモートで音楽の共同作業を行うのは、十分可能なはずです。
むしろこの機会にこれまでできなかった新しい音楽の可能性を見つけていただく良い機会にしていただきたいと希望しています。


今回の記事はCANPLAYで配信する講義として動画にしてありますが、一般公開もしております。
40分ほどと非常に長いですが、より詳細に解説しておりますのでよろしければご覧になってみてください。


以上、
非常に長文ではありましたが、お読みいただきありがとうございました。
何かのご参考になれば幸いです。
ともに頑張っていきましょう!



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