機械学習とのコラボレーションで制作されたヒップホップEP | GoogleのMagentaでトラックメーキング

NaturalCausesのアルバムカバー


Spotify, Apple Musicで100万人以上のリスナーを持つラッパー/音楽プロデューサーであり、Googleのクラウドカスタマー部門のエンジニアでもある MJx MUSIC ことMichael “MJ” JacobがGoogleの音楽生成機械学習ライブラリ Magentaを使用しトラックメーキングしたヒップホップ EP

Natural Causes

をリリースしました。
MJx MUSIC本人は機械学習との共同プロデュースであると解説しています。

下記のURLからSpotifyで視聴する事ができます。



制作について本人が語っている動画もご覧ください。


この取り組みは数ヶ月前から行われており、トラックメーキングをしてる動画も以前公開されています。





制作についても解説があり非常に興味深い内容でした。

・使用したモデルはMagentaのMelody RNNとDrums RNN
・単音のキャッチーなリードメロディー(Melody RNN)とキック/スネア/ハイハット のドラムの組み合わせ
・自身が所有するこの十年のヒップホップアーティストの楽曲をMIDI化し学習データとして使用
・学習時間は10〜12時間、回数として良い結果だったのは15,000エポック
・モデル作成は20回以上行い、MIDIのデータクレンジングも丁寧に行う
・数百ほどのMIDIファイルをチョイス、その組み合わせで制作

とのことです。


以前から言及してきたことですが、最初に機械学習で作られた音楽のヒット曲が生まれる、または活用が普及する(規模はここではあまり問わずです)のはヒップホップの可能性が高いと考えています。
シンプルなループ、例えば1小節のループでも楽曲が成り立つ事。(機械学習では長い展開のある音楽の生成が難しい)
元々がサンプリング文化であり、近年ではタイプビート活用が普及している様に、トラックを何かから拝借する様な行為に抵抗感が少ない事、既存のルールにしばれる事が他のジャンルに比べ少ない事、などの理由からです。
また、テクノロジー時代にフルタイムのプログラマー/エンジニアが、そのスキルを活用して、週末ミュージシャンとして活躍する未来も十分予想できますが、その先駆けとなる例が、今回のMJx MUSICの作品なのかもしれません。

音楽そのものに対する個人的な感想はここでは述べません。
こういった取り組みが、どんな価値があるのか?新しい音楽のあり方がなんなのか?
それがわかるのは今ではなく、来る未来なのだと思っています。

これからもこの様な新しい取り組みは都度紹介していきます。
テクノロジーで音楽を創る取り組みをされている皆様の何かのインスピレーションとなれば幸いです。