現在でこそボーカロイドで誰もが当たり前に知る様になったコンピュータによる歌唱。
AI時代の今は有名人の歌声に自分の歌声を変換するプログラムや、自分の声のまま、発した言葉を訂正してくれるとプログラムまで登場し始めています。
この音声合成による歌声を初めて採用した楽曲が1961年、コンピュータ音楽の生みの親とも言われるMax Mathewsのデイジー・ベルです。
(別名Bycycle for Two:2人乗りの自転車とも呼ばれます)
いかがですか?
デイジー・ベル (Daisy Bell) は、ポピュラーソングのスタンダードナンバーの1曲で、イギリスのシンガーソングライター、ハリー・ダクレ (Harry Dacre) が1892年に作詞作曲。
ミュージックホール歌手のケイティー・ローレンス (Katie Lawrence) が歌ったことで有名となりました。
Max Matthewsによる世界で初めてのコンピュータ歌唱音楽はこのデイジー・ベルが採用されています。
Max Matthewsのデイジー・ベル詳細
1961年、ベル研究所のコンピュータIBM7090(当時の価格で約290万ドル!)を使用し、Max Matthewsが音楽をプログラミング。
コンピュータによる歌声部分以外の歌はジョン・ケリーさんとキャロル・ロックボームさんが歌っています。
ちなみにお2人はプロの歌手などではなくベル研究所の職員さんの様です。
Max Matthews(canplayのMu-Tech講義資料より抜粋)
アメリカ合衆国ネブラスカ州生まれの科学者、発明家、音楽家で、コンピュータミュージックのパイオニアの一人。
カリフォルニア工科大学およびマサチューセッツ工科大学にて学び、1954年に科学博士を取得の後、ベル研究所に勤め、音響生成に広く用いられた音楽プログラミング言語MUSIC-Nシリーズ(1957年-)を開発する。
その後、デジタルオーディオや音響合成の分野、楽器演奏に付随するマンマシンインタフェースの研究分野において、第一人者として活躍した。
1974年から1980年まではフランス国立音響音楽研究所(IRCAM)の科学アドヴァイザーを務め、1987年以降はスタンフォード大学にて教授を務めていた。
本講義でも取り上げるMAXの名前の由来となっている。
2001年宇宙の旅でHAL9000が歌う
このMax Matthewsのデイジー・ベルはあのSF映画の金字塔
2001年宇宙の旅
において、分解され機能を喪失しつつあるコンピュータHAL 9000が、デイジー・ベルの一部を歌うシーンがあります。
(実際の歌声はコンピュータではなく、HAL9000役の声優ダグラス・レイン によるものです)
Max Matthewsの功績が評価されている大いなる証ですね。
いかがですか?
コンピュータによる歌唱も歴史が長く、奥が深いです。
そして今のAI時代に劇的な進化を遂げるであろう注目ジャンルである事も間違い無いです。